あきば医院 寒河江市,寒河江駅 整形外科、内科、外科、皮膚科

  

新型コロナウイルスワクチン接種後の中和抗体測定について

 新型コロナウイルスはその表面にスパイクタンパク質と呼ばれる突起状のトゲを有し、このトゲが 人の細胞の受容体と結合することで細胞内に侵入することができます。ワクチンを接種するとこのスパイクタンパク質のトゲに対する中和抗体が作成されます。中和抗体がトゲ部分に結合することにより、ウイルスの受容体への結合が阻害され、細胞内に侵入できなくなります。  

  

 

 現在使用されているm-RNAワクチン(ファイザー製・モデルナ製)の有効性は95%と言われていますが、その効果には個人差があり、「接種後に本当に有効な抗体ができているのか」気になる方もおられると思います。それを確認するには抗体検査と言うことになりますが、新型コロナ感染症の抗体検査には次の2種類があります。

 ①過去に感染したことがあるかを調べるための抗体検査:SARS-CoV-2 IgG(N)
②ワクチン接種後に中和抗体ができたかを調べるための抗体検査:SARS-CoV-2 IgG(S)

  いずれも抗体検査ですが、ウイルスのどの部分に対する抗体かが異なります。 

 

 今回スパイクタンパク質(S)に対する抗体測定が可能となりました。この抗体は感染の既往およびワクチン接種後の抗体獲得を示す良い指標であり、ウイルスと人の細胞との結合を阻害する中和抗体として働くと考えられています。 ①で測定する抗体は、ヌクレオカプシドタンパク質(N)に対するものであり、既感染の判定には有用ですが、ワクチン接種後の抗体獲得の判定には不適でした。②の抗体検査はワクチン接種後に、中和抗体がどの程度できているかを測定できる検査です。

■SARS-CoV-2 IgG(S)抗体検査
血液を採取して、抗体価を測定します。結果が出るまで数日かかります。費用は5,500円(税込)です。 結果は50未満が陰性。50以上は陽性となります。ワクチン接種後十分な抗体ができるのは、2回目のワクチン接種を終えて1週間後と言われており、検査を受けるタイミングとしては、それ以降が勧められます。ただ体内でどれだけの抗体価があれば発症や重症化を予防できるかについては明らかになっていません。また産生された抗体がどれくらいの期間持続するのか、今後どこまで抗体価が下がった場合に追加接種が必要となるかについてはわかっていません。(令和3年7月27日現在)